MAMEBOOKS blog

 こんにちは。2010年から「移動式古本屋」として活動しています。
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    とある銅像のはなし|伊勢佐木モールの佐藤忠良
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      街のあちこちに銅像や彫刻がある。公共のアートと言われれば確かにそうだけれど、普段はまるで気にも留めない。作者は誰か、タイトルはなにか。それ以前に彫刻がなにであるかすら見ていない。ポーズはどんなで、意図はなにか。まるで知らない。気にも留めない。

      その道はわたしの馴染みの道。行きつ戻りつ幾度も来た。銅像があることは知らずにきた。見てたかもしれないけど視てはいなかった。

      この頃わたしは佐藤忠良さんにはまっている。といっても、彫刻家として知られるその人の「絵」にはまっている。自ら「デッサン魔」というほどのその人は、旅で、アトリエで、無数のデッサンを遺している。

      その日わたしは借りていた本を図書館へ返した。佐藤忠良 素描集。B4型の大きな二冊は、たぶんわたしの忘れ得ぬ本になる。

      その日わたしは頭痛がしていた。鈍い偏頭痛に気づいたのは高校生の頃で、考えごとか悩みごとか、ともかくそれらの何割かには、頭痛のおまけが付いてまわった。

      その日わたしは確かに思った。その道を歩き、強く思った。「決めた」というと語気が荒いが、確かにそうした感触があった。今すぐでなくとも、少し先でも。そうしよう、そうしていこう。そうして自分に頷いた。鈍く痛む頭とともに。

      その日わたしは足をとめた。おそらく初めて足をとめた。経た歳月を思わせるそのブロンズ像は、ポーズを取り首を寝かせた女性だった。なぜだか今日はそれに惹かれた。歩を戻ししゃがみ台座を見る。「若い女」とそこにあった。「あ」と思ったのは作者名で、そこにはひっそりその名が待ってた。佐藤忠良。1978。

      あることを決めるとあることが惜しくなる。わたしにはすでに芽生えていた。名残惜しさに似た感覚。正対したまま数歩下がり、離れてそれをしばし見つめた。横に廻って目線を向ければ、像の向こうから西日が差した。

      わたしはたぶん忘れない。そしてまたこの道を通る。幾度も歩いたこの道へ来る。なんの感慨も想い入れもなかった道に、気づけば情が芽生えている。

      わたしはたぶん忘れない。あの商店たちを向こうにして、西日が差して眩しく光る、あの銅像と居た時間を。

      伊勢佐木モールの佐藤忠良。出逢えずにいた作家と出逢う。そしてわたしはまた会いに行く。2016年2月9日、わたしの午後のことでした。



      | 日記 | 22:10 | comments(0) | - |
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